065 dマガジン(成功・成長の原理原則)
1.dマガジンとは?
Docomoが提供する雑誌読み放題サービス。月額432円で200誌以上の雑誌が読めるサービスで、会員数は300万人を超えました。
楽天ブックやTマガジンなど類似サービスが乱立するなか、トップの地位を維持しています。
2.収益の源泉は?
会員からの月会費が収益の源泉です。
無料会員がいないとすると、月額13億近い売上があることになります。(432円/月×300万人=12億9600万円/月)
3.成功の肝は『他社との差別化(製品/チャネル)』
楽天ブックスやTマガジンなどと競合しており、かつ取り扱い雑誌もおおむね重複していることから、取り扱う雑誌の種類だけでは差別化が難しい業界といえます。(もちろんマニアックな雑誌を取り込むことでニッチな顧客を取り込むのは各社もやっています。)
雑誌社にとっては、一社に限定的に配信するより全社に配信したほうがメリットが大きいことから、もし独占的に契約を結ぶのであればコストはかさむと想定されます。
そんななかでDocomoが抜けているのは、インタフェースの継続的な改善です。デザイン思考に近いと思いますが、ユーザの使うシーンを想定し、文字を少なくする/満員電車でもピンチイン・アウトを片手でできる/見栄えを重視する/記事から探す機能など、多様な改善を繰り返すことで、製品仕様上差別化を図っています。さらに加えて、Docomoの携帯ユーザに対し、携帯契約時にチェックボックスを付けるだけで簡単にdマガジンを開始できるチャネルを活用することで、ユーザ数を飛躍的に伸ばしています。
4.壁:差別化をしても真似される?
製品仕様上の差別化を図っても模倣をされることで差別化要因を打ち消すことができます。
ただ、Docomoの場合はまねできないチャネルを持っていること、すでにリーダ企業であることから、同質化をされてもそこまで痛手ではなく、逆に他社の差別化策を模倣していけば勝てる状況であると言えます。そう考えると、
競合との共存が難しいプラットフォーム系領域では、1位になるまでに多大な投資をする価値があると言えます。
→グノシーなどのニュースキュレーションサービスは共存が可能なので、同質化ではなく、差別化に力を入れるべきと思います。
★成功の条件:仮説★
・競合との共存が難しいプラットフォーム系領域では、1位になるまでに多大な投資をする価値がある。
・サブスクサービスでは、デザイン思考でUIを改善し続けることが重要