052 ZOZOスーツ(成功・成長の原理原則)
失敗事例から学ぶ~本当の失敗かはこれから~
1.ZOZOスーツとは?
ZOZO提供したインターネットでのオーダーメイドスーツ販売に向けた採寸サービス。一時は予約数100万件を突破、200億の売上を宣言していましたが、結果的には150億の赤字と当初予定から△350億円と収益としては完全に失敗をしています。
間違いなく一時期バズったことから今までにない斬新なサービスで話題を呼んだ点は注目すべきです。
2.収益の源泉は?
スーツの売上が収益の源泉になります。採寸用のZOZOスーツは初回無料(送料はかかる)としているため、プロモーション投資に近い位置づけです。
3.成功の肝は『手軽さと悩みの深さ』
オーダースーツが安く、しかもインターネット経由で買えてしまうことと、ZOZOスーツを着たときの恥ずかしい姿が話題となり次々にオーダーがあり、100万件の予約を得ました。
従来店舗でなければ絶対に成すことができないと思われているサービスを、新技術で実現したことは注目すべき点です。
4.壁:話題がなぜ収益につながらなかったか?
統計を見ると、届いたけど着もしなかった人が半分弱、着たけど服を買わなかった人が3割強となっていたようです。ただ、約3割はスーツ購入にこぎつけたことを考えると、悪くなかったとも思うのですが、どうだったのか。
ZOZOスーツの価格を見ると通常のスーツよりも安価で、(想像ですが利益率は低く、薄利多売を想定ZOZOしていたので)、ZOZOスーツの無料提供失敗の販管費を回収できなかったために多額の損失を計上したといえそうです。
話題になったから面白半分で取り寄せた人を除けば、「着るのが面倒くさい」「撮影手順が面倒」を軽減すれば、もう少しましだったのかとも思いますが、巨額の損失を回避はできなかったと思います。
それ以外にどうすればよかったのかを考えると、
①スーツの価格をもっと上げておけばよかった?
②正確性重視と手軽さ重視の2つを用意してもよかった?
→手軽である程度の計測精度を求めていた客が多かったのでは?
③スーツ購入を前提としてZOZOスーツを使ってもらう仕組みとする?
→先にスーツ代を払わせることで、ZOZOスーツの提供料を減らし、販管費を抑えるとともに、顧客側の発送待ちを軽減する。
(その場合、バズったかは怪しい)
デザイン思考を活用すれば②のような結論になり、もう少しうまくいっていたのでは?と感じました。
★成功の条件:仮説★
・店舗でしかできないサービスを、家でできるようにする
・新たなサービスは徹底してデザイン思考を試す