社会の非効率、アンマッチをITで解消する!

IT事業成長、成功の原理原則や、ビジネスアイデアを発信します。

096 パソコン決裁cloud(成功・成長の原理原則)

1.パソコン決裁cloudとは?

 シャチハタ社が提供する電子印鑑サービス。請求書や契約書などの捺印をクラウド上で実現する仕組みです。利用する会社にとってはコスト削減(人件費、印刷代など)に寄与することと、最近のコロナの影響もハンコレスへの後押しとなっていることから注目を集めているサービスです。

dstmp.shachihata.co.jp

日経コンピュータにも取り上げられていました。

 

2.収益の源泉は?

クラウドサービスの利用料が収益の源泉です。

 

3.成功の肝は、『コロナ禍での無料サービス提供』

 

パソコン決裁cloudは印鑑1個あたり月額100円という安価でサービスを提供していたことで一定の知名度を得ていました。

ただ、決定的だったのはコロナを受けて2020年6月末までの期間限定での無料提供でした。ここで、新規申し込みが25万件を超えたと言います。

この意思決定(スピード、内容)は非常に重要で、このようなクラウドサービスは①一度使うとしばらく使い続ける可能性が高い、②プラットフォーマーのように使う人が増えるほど価値が高まる(未確認)、③BtoBでは1円なのか0円なのかで決裁の面倒くささが天と地。

個人的には③はかなり重要な要素で、100円といえども社内決裁は必要で、特に大企業であればそれを含めたコストとベネフィットを比較することになるのでなかなか意思決定に及ばないと思います。その点、0円で導入して実績を積めば、社内での決裁も通しやすくなるという双方のメリットがあります。

 

4.壁:社会の壁?

印鑑文化はずっとなくそうとしていたけどなくせなかったある意味文化のようなものです。テレワークでも押印のために出社する事例は問題化していますし、それでもなくせないのが現状と思います。

一方で、河野大臣が省庁に対してハンコレスにできないなら理由を示せという強い姿勢を示していることは追い風で、ハンコからの脱却は今後勢いを増すと思います。その中で類似サービスと差別化を図るにはどうすればいいのか。

個人的には0円でサービス提供し、他でお金を確保する(プレミアサービスとか)方策を検討し、圧倒的なシェアを確保、シェアがシェアを生むようなcloudの仕組を作っておくことが成功のカギなのではと感じます。

 

★成功の条件:仮説★

・事業機会(タイミング)を逸しない意思決定は急成長にとって重要

・業界にとっての事業機会は競合にとっての事業機会でもある。競合の出方を見つつ大胆かつ顧客視点での赤字覚悟の施策でシェアを取る必要があるのでは。

095 すらら(成功・成長の原理原則)

1.すららとは?

子供向けのオンライン学習サービス。ゲーム感覚で自宅での勉強をサポートするをコンセプトに、個人向けのみならず塾や学校もターゲット顧客にしている点がユニークで、自宅学習においては学習障がいの子供を対象にしたプロモーションも行っています。

jukusurala.jp

 

2.収益の源泉は?

各ターゲット顧客からのサービス利用料が収益の源泉です。(ほかもありそうだが不明)

 

3.成功の肝は、『ターゲットを絞ったように見せるプロモーション』

すらら人気の秘訣は、ゲーム感覚のインタフェースとアダプティブ学習にあると思います。利用者が増えるほどアダプティブ学習の精度は高まるはずであり、価値は向上していきます。その一方で、講師が一人ひとりに対応していく点がサービスに深みを与えています。スタディサプリは講師の質に強みを持ちますが、すららは教材の質に力を入れていると言えます。

中でも、すららは成績が低迷する子や発達障がいといわれる子供を対象にしたと見せるようなプロモ―ションに個人的には特徴を感じました。数は少ないかもしれないけど強いニーズを持つ人に刺さるようなプロモーションというのはプロモーション効果が高いと感じます。

※最近は昔よりも発達障がいの子供が増えていると言われています。ただ実体として増えているかというとそうではなく、病院に行く人が増え、病院で自閉症などと判断される基準が低くなったのではと思います。そんな中で、親は勉強に対する脅迫的な考えが生まれるのが必然で、藁にすがるように怪しい学習塾に入るケースもあると思います。そう考えると、ゲームのように、アダプティブラーニングができる仕組みというのは強いニーズがあると感じます。

 

4.壁:EDTechブームで生き残るには?

スタディサプリをはじめ、オンライン学習プログラムは膨大な数が出てきており、大手予備校や受験校が取り組みを強化していっている現代において、競争環境は極めて厳しいと言えそうです。市場の伸びが高いことから、キャッシュを投資してシェアを獲得していく必要がありそうです。

アダプティブラーニングで強みを発揮するには、シェア獲得が重要であるため、価格低減も一手なのではと思います。

 

★成功の条件:仮説★

・少数だけど深いニーズのあるところにプロモーションをするのは効果的

 

094 サンリオピューロランド(成功・成長の原理原則)

1.サンリオピューロランドとは?

キティちゃんなどの人気サンリオキャラクターと会えるテーマパーク。東京都多摩市にあり、女性社長が就任してからターゲット顧客層の見直しを図り、業績は向上しました。

サンリオ自体の通年売上推移をみるとやや右肩下がりであり、コロナ禍による影響も大きい状況ですがピューロランドはプロフェッショナルの仕事術にも出演した敏腕女性の手腕が光り、来場者数は2019年に最高を記録しました。

その社長がコロナ禍においてデジタル化を進めていることが注目されています。

agenda-note.com

 

 

2.収益の源泉は?

入場料及び、キャラクターグッズや飲食代が収益の源泉になっています。

 

3.成功の肝は、『ターゲット顧客の見直し』

ピューロランドはもともとファミリー層をターゲットとしていました。今は、F1層といわれる20~34歳の女性が第二ターゲットとなっています。改革当時は少子化の影響やキャラクターの人気低迷(認知度低下)、他のアミューズメントの増加などにより業績が悪化していました。そんな中で、大人をターゲットに「カワイイ」を売りとするマーケティング戦略に切り替えることで、ファミリー層にも価値を提供しつつ新たな顧客層を開拓、SNS等での拡散を通じて成長事業に押し上げることに成功をしました。

 

4.壁:コロナ禍対応

 

アミューズメント系事業は、TDLを含めコロナ禍の多大なる影響を受けています。 ピューロランドは室内設備であることから、その影響は計り知れません。

ピューロランドは2月には早々に休館を決意。衛生管理を徹底するとともに、オンラインでの従業員研修を実施し、新規企画を進めることにもリソースを割いています。(リソース配分の変更と早期意思決定)

加えて、マーケティング面では施設の状況やミュージカルの状況などをSNS等で定期配信をしています。これらの取り組みから、オンラインコンテンツの充実をスピード感を以て対応できたことに加え、動員数至上主義からの脱却というコロナ禍でのプラス面での経営影響をポジティブにとらえ、経営を進めている点が素晴らしいと思います。

 

★成功の条件:仮説★

・事業低迷においては、ターゲット顧客層見直しも有効

・ピンチはチャンス…コロナ禍での早期意思決定とリソース配分の迅速な見直し、オンライン時代への適用へのかじ取り

 →未曽有のピンチにおいてはトップダウンで新たな事業へのシフトチェンジを行う

093 アリババドットコム(成功・成長の原理原則)

1.アリババドットコムとは?

中国のEC業界を席捲する超巨大プラットフォーム。今年の4~6月だけで、売上は1537億5100万元(1元=約15円)であり、Amazonには売上で及ばないものの総流通額はAmazonを上回るほどの巨大経済圏を形成しており、時価総額は30兆円とも言われています。

 

2.収益の源泉は?

成果報酬型広告や取引手数料、有料会員からの会費などが主な収益源です。

 

3.成功の肝は、『後発ならではの競合価格戦略』と『収益のズラし』

これだけの超巨大企業なので成功の肝はいくつもありますが、特に重要だったと思われるのが競争初期段階における取引コストゼロ化施策です。当初BtoBのEC事業をメインで立ち上げていますが、競合はすでに存在していました。そのなかでアリババは、取引手数料を無料にすることで話題とユーザを集めることに成功。

その一方で、キャッシュが尽きて何度も窮地に陥るものの、有料会員制度を作ることで少しズラした角度から収益を確保するなど、次から次へと策を打っていくことで膨れ上がるユーザ数へのサービスを提供し続けていきました。

(CtoCやBtoCへも進出。CtoCの取引量はAmazonを上回る)

 

4.壁:Amazon超えの壁

アリババはAmazonに肩を並べることを目指しているようですが、その壁は相当に高いようです。Amazonが消費者直販をベースにしているのに対し、アリババは出店者と消費者の取引の場を提供する楽天的なビジネスがベースとなっています。Amazon楽天の比較でいえば、Amazonの強みは品質の確保やサービスレベルの確保、規模の経済性による値引き等コスト面での優位性が挙げられます。アリババとAmazonも同様のことが言えそうです。

また、Amazonの利益の源泉はAWSですが(調べたタイミングではAmazon全体よりAWSのほうが営業利益が高い)、アリババにはそこまでの利益の源泉はないというのが現状です。

 

 

★成功の条件:仮説★

・シェアを取る勝負においては、後発であっても(機を逸するレベルじゃなければ)価格を圧倒的に下げることで競争に勝ち得る

・キャッシュが尽きないうちに、シェアを利用した収益源を少しずらして確保する

 

092 EARIN:完全ワイヤレスイヤホン(成功・成長の原理原則)

1.EARINとは?

完全ワイヤレスイヤホンを最初に開発して世に出したメーカー。その画期的な発明を実現したことと、驚くほど高い音質で発売当初話題になり、多くの引き合いがあったようです。

 

2.収益の源泉は?

イヤホンの売上が収益の源泉です。

 

3.肝と壁は『先行優位が働かない場合もある』

EARINは画期的な発明をして当初有名になったのですが、今でもシェアが高いかといえば全くそんなことはありません。言い方は悪いですが、BOSEAppleに抜群のパスを送ったともいえる状況になっています。

ウォークマンは開発したSONYが優位性を以て長いこと市場を席捲しましたが、EARINはそうはなりませんでした。

それはなぜなのかは明確にわかっているわけではないですが、ブランド構築ができないまま競争に巻き込まれたことが大きいのではと考えます。

完全ワイヤレスイヤホンは世に衝撃を与えましたが、一方で技術的な可能性を世の中に示す結果にもなりました。BOSEAppleSONYなど音楽業界でブランド力を持つ企業がそれぞれの強みを武器に完全ワイヤレスイヤホン市場に参入したことで、目新しさという武器を失ったEARINの成長は鈍化、伸び行く市場においてもシェアを獲得しきれずになってしまいました。

トップメーカーである企業がイノベーターではなく模倣者であった例は枚挙にいとまがなく、最初にイノベーションを起こした企業が必ずしもトップを走り続けられるわけではないことを示していると思います。

 

★成功の条件:仮説★

・模倣も立派な戦略。模倣する際に自社のブランド力を生かすことでシェアを奪える。

・先行優位を確保するなら、模倣困難性や模倣されても勝てるかを徹底的に考える(プラットフォーム戦略で囲い込むのもアリだし、上澄み価格で一気に利益獲得をしてしまうのも手)

091 ADDress(成功・成長の原理原則)

1.ADDressとは?

定額全国住み放題サービス。月額40,000円(税抜き)から、全国約60拠点の家が利用できるサービスです。地方と都会のデュアルライフを楽しんだり、最近はやりのワーケーションを体現するようなサービスで注目が高まっています。

address.love

 

2.収益の源泉は?

月額利用料が収益の源泉です。

 

3.成功の肝は『地方固有の問題を家守が解消』

空き屋の活用は以前からよく言われていましたが、ADDressは他のサービスと一線を画しているために注目度が高いと言えます。それは、個室であること、デザイナーがリフォームしていること、家守と呼ばれる人が必ず1軒に1人いることが言えそうです。

特徴はやはり家守の存在で、地方といえば考えている以上に周囲の目が厳しいことが挙げられますが、この人たちが適切に助言をしたりイベントを開いたりすることにより、顧客が安心して利用できる環境を作っています。

 

4.壁:収益が確保できるのか?

月額4万円(税抜き)という安価で、電気・ガス・水道代が含まれており、さらにおそらくクリーニングや家の掃除も不要と見受けられることに加え、リフォームなどのイニシャルコストを考慮すると、なかなか収益確保が難しいのではと思われます。ADDressでは、ホテルや旅館、ゲストハウスなどの宿泊施設との連携を強化することで、この問題に対処しようとしているようです。

確かに、顧客としては行きたい地方に空きがない場合、ホテルに定額で宿泊できればうれしいですし、宿泊施設としても空室が埋まるのはありがたいことなのでWin-Winの関係が築けると思います。

www.travelvoice.jp

 

★成功の条件:仮説★

・空き家、空き室などの遊休資産をサブスクで活用するのは有効。

・シェアリングビジネスには、顧客が安心して利用できるためのマネジャー的な存在も有用。

090 sukima works(成功・成長の原理原則)

1.sukima worksとは?

飲食店特化型のアルバイトマッチングサービス。飲食店が人手不足の際、一時的にアルバイトをしてもらえる人を募集し、手の空いている人が時給制でお手伝いをする仕組みとなっています。飲食業界は求人倍率4倍以上と人手不足が深刻です。さらに、時期・時間帯により必要な要員数は変化します。そのうえ、アルバイトの確保も上記のとおり難しく、アルバイトが忙しい日にシフトを組めるかも保証できません。

このような根本課題への解決策として、隙間時間だけアルバイトできる人と一時的に手伝ってほしい飲食店をマッチングするサービスを提供しています。

prtimes.jp

 

2.収益の源泉は?

成功報酬型でのマッチング手数料が収益源です。

 

3.成功の肝は『時代背景の変化』

上記に記載するような課題はずっと以前からあったものですが、10年前に同サービスを提供していても失敗していたのではと思います。

今は、だれしもがスマートフォンでアプリにアクセスしやすい、所有から利用へのシフトが当たり前になりつつある、クラウドソーシングのような働き方が浸透している、などの状況により、このようなサービスを利用することへの心理的ハードルは下がっているものと思います。

 

4.壁:最初の人集めの段階はやはり大変?

履歴書や面接も不要かつ、初めての店舗で働いてもらうにあたり、質の確保は大丈夫なのでしょうか。調べてもあまり出てこなかったのですが、以下のような理由で質についてもある程度は許容範囲であると言えるかと思いました。①アルバイトを雇っても質が担保できるわけではない、②そもそも人手が不足しているので猫の手も借りたい、③評価制度があるはず

特にポイントは③で、これがあることで働き手も一生懸命になるし、飲食店側も安心してお願いができます。場合によっては(すでにあるかもしれませんが)評価が高い働き手が高い給与で働けるようになるかもしれません。※クラウドソーシングはそのような仕組が働いています。

 

★成功の条件:仮説★

・従来からある課題に対し、今の時代背景を踏まえてサービスを提供する

・評価制度は品質担保のカギになる