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097 東北楽天ゴールデンイーグルス(成功・成長の原理原則)

1.東北楽天ゴールデンイーグルスとは?

プロ野球球団。楽天生命パーク宮城を専用球場を本拠地にしています。

チケット料金を変動制(ダイナミックプライシングの採用)にしたことで来場数を高めることに成功した点を取り上げます。

 

2.収益の源泉は?

スポンサー、観戦チケット及び、グッズや食料品販売による収益が主な収益源です。

 

3.成功の肝は、『他の業界の常識を自業界に持ち込む』

野球観戦のチケットは常に同一価格で座席の位によって差を出すプライシングをするのが常識でした。

楽天は、2009年シーズンに、ゲーム開催時期や対戦カード、イベント有無などによる需給変化をチケット価格に反映させる、フレックスプライス制を初めて導入しました。チケットを高く売ることが目的ではなく、席が埋まるように価格を下げるのがポイントで、単価を下げてもそれ以上の数量を実現することで売上増加につながっています。

さらに、来場者数が増えることで、グッズやビールなどの購入が増え、試合も盛り上がるなどメリットが非常に大きい効果的な戦術であったと言えます。

実は2009年時点でもホテルや航空機では需給に合わせて価格を上下させるのがむしろ常識であったのに対し、プロスポーツ市場では固定料金が基本でした。このように、他の業界で常識であり、かつ目的に合致する方策を最初に取り込んだところに楽天のすごさがあると思います。

実際、成績は振るわず最下位であったシーズンでも入場者数では2位になるなど、抜群の実績を出しています。

 

4.壁:いくらに設定するのかが大きな課題?

席がギリギリ埋まるくらいの価格設定がどのくらいなのかについては、予測精度を高める必要がありますが、本当にいろいろな情報のなかから必要な情報を選んで予測モデルを作るという点に難しさがありそうです。

今はDeepLearningにより変数選択(特徴選択)もかなり自動でできるようになっていることから、価格設定をどうするかという課題はだいぶ解消に近いと思います。

一方で、ダイナミックプライシングによるブランド価値の棄損だったり、繁忙期の需要減退につながるなどの負の影響を考慮していく必要はありそうです。

 

 

★成功の条件:仮説★

・他の業界では当たり前にやっていることを自分の業界に取り入れる

・価格の増減は需要の増減。需要を高めることのメリットが多いなら検討すべし。(範囲の経済性が重要な業界ではダイナミックプライシングは有効)