043 Mixi(成功・成長の原理原則)
※今回は、栄枯盛衰を経験したITビジネスを分析することで、成功・成長の原理原則を探ってみます。
1.Mixiとは?
ソーシャルネットワーキングサービス。実名に近い形で登録をし、日記や趣味などを共有できるサービスとして、一時はMAU(月のアクティブユーザ数)1547万人に達しました。その後、FacebookやTwitterの台頭等によりユーザ数は激減。
ただ、事業撤退はしておらず、現実世界と一線を引いたコミュニケーションの場として、またゲーム等の新たなサービスで現在でも根強いコアユーザがいるようです。
2.収益の源泉は?
広告収入および、有料会員からの会費が収益源です。
3.成功の肝は『海外ビジネスの輸入/最適化』
Mixiは当時社長の笠原氏が海外でSNSサービスを見た際に思い付いたサービスで、体験により価値を感じて日本に輸入して成功させたモデルです。
招待制を採用し、使ってすぐに独りぼっちになるユーザを減らすことでアクティブなユーザをキープしたことと、日記機能やコメント機能により、身近な人とコミュニケーションするとか、興味関心のあることについて情報交換をするというコンセプトを唯一持っていたために爆発的にユーザを伸ばしたようです。
4.壁:黒船来航?
Facebookの日本語化、Twitterの流行によりMixiは苦境に立たされます。そんな中で、最も失策だったといわれているのが、「足あと機能の削除」といわれています。
Mixiでは、他者がサイトを訪れた際誰がいつ訪れたかを見れる足あと機能がありました。これは賛否があって、ユーザの離反を招く機能ともいわれていました。そのため、Mixiは足あと機能からリアルタイム性を外す意思決定をしました。
これによりコアユーザの離反が生じ、一気に劣勢に陥りました。
何が問題だったかというと、一部声の大きいユーザのクレームに耳を傾けることでコアバリューを失ったという点です。足あと機能は、自分に対する反応を確認する意味でコアユーザのモチベーションの源泉となっていたのですが、それを失うことで他社への鞍替え、アクセス数の減を招き、それにより他のユーザも離反していく負のスパイラルに陥りました。
ネットワーク外部性のあるサービスはWinnerTakesAllの側面がありますが、下げ基調の際には一気に崖から転がり落ちる難しさがあります。
やはり現場の声から自社サービスのコアバリューを確認していくことが重要なのだと感じます。
★成功の条件:仮説★
・競争にさらされたときほどエンドユーザのニーズを重視する
→声の大きい人の言うことを聞くのはやめる
・自社のコアバリューをユーザの声などから客観的に把握する