004 ポメラ(成功・成長の原理原則)
1.ポメラ とは?
キングジム社が2008年に展開したメモ専用端末。PCから無駄な機能をそぎ落とし、「即時起動」「長時間バッテリー駆動」「軽量化」を実現。2018年までの10年間でシリーズ累計35万台以上の販売に成功しています。
https://www.kingjim.co.jp/pomera/
2.収益の源泉は?
ポメラ本体の販売が収益の源泉です。
3.成功の肝は『機能拡充がトレンドの中、機能を極限まで絞り込んだこと』
2008年は、PCやPDAの機能拡充競争が激しかった一方で、出張時に重いPCとアダプタを持ち運び、結局議事メモだけを書くといった状況に不満を感じているユーザも潜在的に存在していました。そのため、ポメラ発表時には、一部の熱狂的な支持者が現れ、一気に話題になったようです。
機能をどんどん増やしていく市場環境において、用途を絞り込み、その用途に最適な製品を世に出したことが、成功の肝であると思います。
4.壁:売れるわけがない、という社内の雰囲気
ポメラの構想時は、売れるわけがないとの反対意見しかなかったようですが、一人の社外役員が「いくら払ってでも買う」、との意見を出してから雰囲気が一変。キングジム宮本社長の新規事業への積極的な姿勢もあり、商品化にこぎつけました。
キングジムの会社風土がポメラの発売決定につながったのは間違いありませんが、2020年現在であれば、会社に反対されたとしてもSNSを用いたニーズ調査や、クラウドファンディングで一部の熱狂的支持者を見つけ、商品化が実現できたのかもしれません。
5.現在想定される壁:携帯×Bluetoothでいいのでは?
現在の最新モデルDM200は49,800円、一方でスマホのBluetoothキーボードは数千円で高品質なものが買える時代です。そのため、よりニッチ度は高まっていると感じます。
最新ポメラの機能を確認すると、Atok Professionalやフォントのキレイさを追求する本質的な機能拡充だけでなく、無線LAN機能、QRコードでのスマホ読み取りなど付随的な機能を拡充しているようです。
スマホ×Bluetoothという代替品の脅威に対し、アプリレイヤでの差別化は難しい状況かと思います。ハード面での優位性をどう築いていけるかが今後の成長・維持のポイントではと思いました。
★成功の条件:仮説★
・機能拡充競争が激しくなったら、逆に機能絞り込みでコアなニーズをキャッチする
・全員に好まれる商品ではなく、「熱狂的な支持者」を摑まえる商品・サービスを世に出す