アイデア07 施術時の気持ちを伝える
1.概要
マッサージや指圧の際に、気持ちいいのか痛いのかをリアルタイムで施術士にフィードバックする仕組み。
目の動き、場合によっては脳波をリアルタイムで施術士にフィードバックすることで、マッサージの強さや位置の調整を行うことができ、顧客満足度が高まる。
加えて、振り返りも可能となることで施術士の早期技能向上にもつながる。
2.方法
①施術中にベッドの下にカメラと紙(もしくはタブレット)を置き、目の動きで今の施術の評価を行う…気持ち良ければ気持ちいいを示す箇所に視点を移す。その度合いを示せば、顧客が目で示すことで、どの程度気持ちいいのか、痛いのかがすぐにフィードバックされて、その後の施術が調整できる。
②脳波を確認
今の技術ではまだお金がかかるなど実現性は高くないが、顧客の満足度を高めるには目を閉じていても施術がうけられるべきであり、負担を強いるものではない。
そのため、脳波を使って感覚を随時フィードバックすることで、「概要」に記載したサービスを実施する。
3.発展可能性
施術後の身体の情報をフィードバックできる仕組み(例えばスマートウォッチなど)ができれば、各施術内容の改善や、効果の見える化が可能となり、顧客への提供価値をどんどん高めることができる。
さらに、どういう人がどういう施術を好むか、効くのかをデータ化することができれば、マッサージチェアの開発者への販売や、整骨院や医療機関との連携による顧客紹介など、今後のマネタイズの幅がある。
この仕組みを適用するのは、チェーン展開する店舗が望ましい。
4.課題
・費用対効果を検証する必要がある
・マッサージ中に目を動かしたり、脳波を図るにも器具が必要であったりするため、顧客の負担感の増を押さえなければ満足度が高まらない。
アイデア06 体感型楽器演奏
1.概要
電気信号により身体を動かし、自らの体でプロミュージシャンと同じレベルで演奏ができる仕組み。
演奏スキルを磨く※のに使ったり、単純なエンターテインメント体験として提供することができる。
※体で覚えるを体現
2.方法
ドラムやギターなどを演奏しているミュージシャンの筋肉の動きを再現する電気信号により実現。
(今の技術でできるかは要調査。一部できているというニュースあり)
3.発展可能性
スポーツや熟練技能の習得にも活用できるのでは。
今は、反復と矯正指導による体への覚えこませがスポーツや楽器、熟練工の仕事など体を使った技術習得における基本である。
自らの動きを自らが客観的に把握するのは難しく、録画などにより自分でフィードバックしながら技術習得していくことが増えてきている。
ただ、それでも体に正しい動きをさせるのは困難で習熟には何年もかかるのが常識である。電気信号でプロと同じ動きを体感することができれば、技術習得の速度は大幅に早まるのではと考えた。
熟練工の技術承継に使えれば、日本の技術力維持にも貢献できるし、さらにその先にはロボットに代替させることもできるかもしれない。
4.課題
・人が動く電気信号を収集して、それを他の人に再現する技術がなければそもそも始まらない。
アイデア05 ライブVRカラオケ
1.概要
有名アーティストになりきって東京ドームライブや武道館ライブをVRで体感しながらカラオケができるサービス。
爆音での後ろからの演奏と観客の声に加え、AIを活用したコール&レスポンスにより臨場感をたかめ、VRで実際にステージに立った感覚でカラオケができるサービス。
2.方法
(技術的な実現方法)基本はVRの技術(360度カメラなど)。
観客の反応は、対象となるアーティストのライブでの反応に基づきAIで学習させる。
3.発展可能性
・近年はモノよりコトの消費にお金を落とす傾向があるので、技術進展がなければ決して一般人が体験できないプロの体験ができることは価値がある。
→バズりそう。
・カラオケは皆で楽しむ時代から、一人で楽しむことの違和感がなくなってきている時代である(ワンカラとか、一人カラオケとか…)
※ライブ体験は一人カラオケのほうが合いそう
・音楽のライブだけでなく、プロにしか体感できないことが体感できる仕組みは発展可能性が高い。
4.課題
・ライブの映像を360度カメラで撮る、アーティストの許可を得る必要がある
・臨場感をたかめるために、観客の顔や表情は写っている必要がある
→これはGANなどで生成することで実際には存在しない人間を作り上げることで解消できそう
100 WinActor(成功・成長の原理原則)最終回
1.WinActorとは?
近年市場が急拡大しているRPA(Robot Process Automation)の国内シェアNo.1ツール。RPAは知的労働における自動化・効率化ツールとして注目度が高く、なかでもWinActorは使いやすさ、サポートの充実により高い人気を得ています。
2.収益の源泉は?
ユーザからのライセンス料が主な収益の源泉です。
3.成功の肝は、『流行に乗ったのではなく、流行に乗せた』
WinActorはNTT研究所・NTT-ATにて作られ、NTTデータが拡販に成功させました。ブームと商品特性が一致していたから売れたのではなく、RPAのブームをいち早くつかみ、それまでは業務効率化ツールとして売っていたのをRPAとして販売することを試みたことにより、一気に引き合いが高まり、今ではRPAの代表格となったとのことでした。
4.壁:同じようなサービスは前からあった?
昔から試験自動化ツールというのはあり、WinActorも同じような動きをすることから情報部門の顧客には見向きもされなかったようです。NTTデータの大型顧客を相手にする営業責任者にも数多くあたったようですが、ほとんど興味を持たれなかったのがスタートでした。その一方で、一部の顧客からは強い引き合いがあったようです。ひたすら営業活動をいろんな顧客に続けるなかで、情報部門ではなく、実業務(経理など)をしている部門からは引き合いが強いことがわかり、WinActorを求める顧客像が見えてきたことから、商品への自信を深めていったようです。
★成功の条件:仮説★
・流行に乗るだけでなく、流行に乗せることも重要
・一部の顧客から見向きもされなくても、多種・多様な顧客にアプローチすることで売れる可能性はある
099 株式会社ディスコ(成功・成長の原理原則)
1.株式会社ディスコとは?
精密加工装置・加工ツールの製造メーカー。半導体・電子部品の切断、研削、研磨装置の世界トップメーカとして、世界シェア8割を実現している優良企業です。
その技術力に加え、働きがいのある会社第2位(2020年)を獲得するほど社員満足度の高い企業として有名です。
2.収益の源泉は?
割愛。
生産性ははたらく人のモチベーションに大きく依存するとの考えのもと、働きがいのある会社としての地位・実績を積んでいくことを重視しているようにも思えます。
3.成功の肝は、『社内通貨』
働きがいのある企業として著名な会社ではありますが、様々な施策を実施している点が特徴です。
なかでも面白いのが社内通貨「Will」の存在です。Willは自社製品の宣伝など何か自社に貢献すると得られます。また仕事がオークション形式で募集されていて、Willを使って応募する仕組みのようです。
社内通貨という考え方を持ち込むことにより、価値観、
さらに、仮想的な通貨であるために、簡単に制度設計の見直しができる点もポイントです。これを実際の給与やボーナスとした場合は、①会社方針に則る取り組みと報酬に時間差が生じるためモチベーションがわきづらい、②一度上げた給与を下げるのは難しい、③制度変更が柔軟・迅速に行いにくい、という問題があります。
4.壁:ルールの徹底・浸透?
社内通貨にしても規則にしても、社内でのルールは徹底しなければ意味がありません。
ディスコでは、社長自らが施策の推進者となり、徹底的な浸透を図っています。やはりルールの浸透は、仕組づくりとトップダウンが重要であると考えます。
★成功の条件:仮説★
・社内通貨により、方針浸透が即時かつ柔軟に実現できる。
・大胆な施策を浸透するには、仕組とトップダウンでの覚悟が必要。
098 鎌倉新書(成功・成長の原理原則)
1.鎌倉新書とは?
新書といいながら、メインのビジネスは葬儀、お墓、仏壇などの終活ポータルサイトとマッチングビジネスです。
日本最大級の葬儀ポータルサイトである「いい葬儀」や、仏壇探しポータル「いい仏壇」などを運営しています。
2.収益の源泉は?
マッチング成立の成功報酬が収益の源泉です。
コロナの影響はありそうですが、2020年1月期をみると前年度同期比30%の成長を実現するなど、高い成長率で事業が推移しています。(売上・利益ともきれいな右肩上がり)
3.成功の肝は、『顧客ニーズに応えることでさらにニーズを得る好循環を実現』
多くの親族をなくす人の40〜60代の人のITリテラシーが高まってきていることがポータルサイトが成功する要因となっています。また、従前のような地域密着、檀家制度を利用している方が減っていることがWebを用いたマッチングニーズの増加につながっています。
そのほかにも、リソースをお墓の事業に集中する意思決定をしている点が重要と思います。お墓であれば、葬儀と比較し長い時間をかけて比較見当をするため、同社が価値提供しやすいため、その領域にリソースをまずは集中させていました。
また、このサービスは最初から今のモデルだったわけではなく、情報提供サイトを運営しているなかで徐々に紹介してほしいとのニーズが出てきて、気づけばこのビジネスになっていった背景があるようです。このことから、最初から売り上げを期待せずとも増えていくニーズに対応していくことでビジネスニーズが掴める点はポイントかと思います。
4.壁:認知度の向上?
こういったビジネスではまずポータルサイトへの訪問者が増えていくことがポイントになります。この点で、葬儀をキーワードに検索したときのSEO対策には投資をしているでしょうし、サービスをわかりやすく表現できている点もポイントと考えます。
また、全国一律なサービス提供をするのではなく、地方ではなく都市にまずはリソースを集中し、都市圏をターゲットとしています。理由は、地方は変わらず人の紹介がメインのマッチングフローであるのに対して、都市ではそもそも葬儀屋を知らない特性を踏まえているためです。
このようにリソースを集中しつつ、SEO対策等でヒットしやすいよう仕組化することで認知度を向上してきたものと思います。
★成功の条件:仮説★
・高齢者層のITリテラシーの高まりは大きな事業機会
・ニーズに答えていくことで、ビジネス化につながるニーズをとらえられる
・リソースやサービスの集中とSEO対策はWebの認知度向上に重要なポイント
097 東北楽天ゴールデンイーグルス(成功・成長の原理原則)
1.東北楽天ゴールデンイーグルスとは?
プロ野球球団。楽天生命パーク宮城を専用球場を本拠地にしています。
チケット料金を変動制(ダイナミックプライシングの採用)にしたことで来場数を高めることに成功した点を取り上げます。
2.収益の源泉は?
スポンサー、観戦チケット及び、グッズや食料品販売による収益が主な収益源です。
3.成功の肝は、『他の業界の常識を自業界に持ち込む』
野球観戦のチケットは常に同一価格で座席の位によって差を出すプライシングをするのが常識でした。
楽天は、2009年シーズンに、ゲーム開催時期や対戦カード、イベント有無などによる需給変化をチケット価格に反映させる、フレックスプライス制を初めて導入しました。チケットを高く売ることが目的ではなく、席が埋まるように価格を下げるのがポイントで、単価を下げてもそれ以上の数量を実現することで売上増加につながっています。
さらに、来場者数が増えることで、グッズやビールなどの購入が増え、試合も盛り上がるなどメリットが非常に大きい効果的な戦術であったと言えます。
実は2009年時点でもホテルや航空機では需給に合わせて価格を上下させるのがむしろ常識であったのに対し、プロスポーツ市場では固定料金が基本でした。このように、他の業界で常識であり、かつ目的に合致する方策を最初に取り込んだところに楽天のすごさがあると思います。
実際、成績は振るわず最下位であったシーズンでも入場者数では2位になるなど、抜群の実績を出しています。
4.壁:いくらに設定するのかが大きな課題?
席がギリギリ埋まるくらいの価格設定がどのくらいなのかについては、予測精度を高める必要がありますが、本当にいろいろな情報のなかから必要な情報を選んで予測モデルを作るという点に難しさがありそうです。
今はDeepLearningにより変数選択(特徴選択)もかなり自動でできるようになっていることから、価格設定をどうするかという課題はだいぶ解消に近いと思います。
一方で、ダイナミックプライシングによるブランド価値の棄損だったり、繁忙期の需要減退につながるなどの負の影響を考慮していく必要はありそうです。
★成功の条件:仮説★
・他の業界では当たり前にやっていることを自分の業界に取り入れる
・価格の増減は需要の増減。需要を高めることのメリットが多いなら検討すべし。(範囲の経済性が重要な業界ではダイナミックプライシングは有効)